東京湾の船釣りで、初心者にも人気が高いアジ釣り。
船宿の釣り物を調べていると、「LTアジ」と「ビシアジ」という2つの名前を目にします。しかし、初めて船釣りに挑戦する人にとっては、何が違うのか、自分にはどちらが向いているのか分かりにくいのではないでしょうか。
先に結論を述べると、船釣りそのものが初めてなら、基本的にはLTアジから始めるのがおすすめです。
LTアジは使用するオモリが比較的軽く、道具も扱いやすいため、体力や経験を問わず挑戦しやすい釣りです。一方のビシアジは、重いビシを使って深場や潮流の速いポイントを攻略でき、大型アジを狙える魅力があります。
この記事では、東京湾で行われている一般的な釣り方を前提に、LTアジとビシアジの違いを初心者向けに詳しく解説します。
LTアジとビシアジは何が違う?

LTアジとビシアジの大きな違いは、使用するビシの重さと、それに合わせたタックルの強さです。
「LT」は「ライトタックル」の略称です。軽い竿、細めのライン、小型のリール、軽いビシを使用してアジを狙います。
一方、一般に「ビシアジ」と呼ばれる釣りでは、80号前後、走水など潮流の速いエリアでは130号以上の重いビシを使うことがあります。
厳密には、LTアジもコマセを入れたビシを使用するため、広い意味ではビシアジの一種です。しかし船宿の釣り物では、次のように区別されることが一般的です。
- 軽いビシを使用する釣り:LTアジ
- 80号以上の重いビシを使用する釣り:ビシアジ、または通常のアジ船
この記事でも、この区分で比較していきます。
LTアジとビシアジの比較表
| 比較項目 | LTアジ | ビシアジ |
|---|---|---|
| 主なビシの重さ | 30~40号前後 | 80~130号前後 |
| 主な水深 | 浅場から中深場 | 中深場から深場 |
| 道糸 | PE1~2号前後 | PE2~4号前後 |
| リール | 小型両軸リール | 中型両軸・電動リール |
| 竿 | 軽量なLT用ロッド | ビシ負荷に対応した専用竿 |
| 体への負担 | 比較的小さい | 大きくなりやすい |
| アタリの分かりやすさ | 手元に伝わりやすい | 重いビシの影響を受けやすい |
| 狙うアジ | 小型から良型まで | 良型・大型を狙う釣りが多い |
| 初心者の始めやすさ | 非常に高い | やや経験が必要 |
| 電動リールの必要性 | 基本的には不要 | 水深によってはあると便利 |
| レンタルタックル | 利用しやすい | 船宿で借りるのが安心 |
| おすすめの人 | 初心者・家族・ライトに楽しみたい人 | 大型アジや深場を攻略したい人 |
ただし、使用するビシの重さや水深は、船宿、海域、当日の潮流によって異なります。予約前に船宿の指定を必ず確認しましょう。
LTアジとは?
LTアジは、軽量なタックルを使ってアジを狙う船釣りです。
東京湾では40号前後のビシを使う船宿が多く、横浜・川崎周辺をはじめとする湾奥から湾央の船宿で広く親しまれています。
比較的浅いポイントを狙うことが多いため、手巻きリールで十分に楽しめます。
LTアジの基本的なタックル

一般的な構成は次のとおりです。
- 竿:1.8~2m前後のLT用ロッド
- 調子:7対3または8対2
- リール:小型両軸リール
- 道糸:PE1~2号前後
- ビシ:船宿指定の30~40号前後
- 天秤:20~30cm前後
- 仕掛け:2~3本針
- ハリス:1.5~2号前後
- 仕掛け全長:1.8~2m前後
実際には船宿によって指定が異なります。特にビシの号数は船内で統一する必要があるため、自己判断で変更してはいけません。
LTアジのメリット

最大のメリットは、道具が軽く、初心者でも操作しやすいことです。
40号のビシは約150gですが、80号になると約300g、130号では約490gになります。仕掛けを何度も投入し、コマセを振り、回収することを考えると、この差は小さくありません。
軽いタックルを使用するLTアジには、次のような利点があります。
- 長時間釣っても疲れにくい
- アジの引きをダイレクトに楽しめる
- 小さなアタリを感じ取りやすい
- 手巻きリールで楽しめる
- 女性や子どもでも挑戦しやすい
- 半日船を運航している船宿が多い
- レンタルタックルで始めやすい
アジが針に掛かった後は、竿先を細かくたたくような独特の引きを楽しめます。軽い道具だからこそ、20cm程度のアジでも十分な釣り味があります。
LTアジのデメリット
始めやすいLTアジにも注意点があります。
- 潮が速いとオマツリしやすい
- 軽い仕掛けなので底取りに慣れが必要
- 細いハリスは強引に巻くと切れやすい
- 口の柔らかいアジを途中で落とすことがある
- 小型中心になる日もある
LTアジだから簡単に必ず釣れるわけではありません。コマセを指示ダナに合わせ、仕掛けをコマセの煙幕へ入れる基本動作が重要です。
ビシアジとは?
ビシアジは、80号以上の比較的重いビシを使ってアジを狙う釣りです。
東京湾では80号前後が一般的な釣り場もありますが、走水沖のように潮流が速いエリアでは、130号や150号のビシが指定される場合もあります。
深いポイントや速い潮に対応できるため、良型から大型のアジを狙えるのが大きな魅力です。
ビシアジの基本的なタックル

一般的な構成は次のとおりです。
- 竿:1.6~2m前後のビシアジ対応ロッド
- オモリ負荷:使用する80~150号のビシに対応するもの
- リール:中型両軸リールまたは小型電動リール
- 道糸:PE2~4号前後
- ビシ:船宿指定の80~150号前後
- 天秤:30~50cm前後
- 仕掛け:2~3本針
- ハリス:2~3号前後
- 仕掛け全長:2~3m前後
深場から何度も仕掛けを回収する釣りでは、電動リールがあると負担を大きく軽減できます。
ただし、浅めのポイントを狙う80号のビシアジなら、手巻きリールを使用する人もいます。
ビシアジのメリット

ビシアジの魅力は、重い道具そのものではなく、重いビシを使うことで攻略できるポイントにあります。
- 深いポイントを狙える
- 潮流の速いエリアを攻略できる
- 良型・大型アジを狙える機会が多い
- 重いビシで底を取りやすい
- 潮に流されにくく、船内で仕掛けをそろえやすい
- 電動リールを使った船釣りの面白さを味わえる
特に走水沖は速い潮で知られ、太った良型アジが狙える人気エリアです。地域性のあるブランド級のアジを狙いたい人にとって、ビシアジは非常に魅力的な釣りです。
ビシアジのデメリット
一方で、初心者にとってはLTアジより扱いにくい部分があります。
- タックル全体が重い
- コマセを振る動作で疲れやすい
- 深場では仕掛けの回収に時間がかかる
- 電動リールの操作を覚える必要がある
- タックルを購入する場合の費用が高くなりやすい
- 重いビシを船上で振り回すと危険
- アタリがあってもビシの重さで分かりにくいことがある
特に130号前後のビシを使用する釣りでは、竿、リール、ライン、天秤のすべてを指定の負荷に合わせる必要があります。
LTアジ用の竿へ130号のビシを装着すると、竿の破損や事故につながる可能性があります。道具の流用は、対応負荷を確認して慎重に判断しましょう。
釣れるアジの大きさは違う?

一般的には、LTアジは小型から中型、ビシアジは良型から大型を狙うイメージがあります。
ただし、これは絶対的な違いではありません。
LTアジでも30cmを超える良型が釣れることがありますし、ビシアジでも小型が中心になる日はあります。釣れるサイズは、次の条件によって変わります。
- 釣り場
- 水深
- 季節
- 潮の流れ
- アジの群れ
- 船長が選ぶポイント
- 当日の活性
「大型アジを釣りたいから、必ずビシアジを選ぶ」と単純に考えるのではなく、船宿の直近の釣果情報を確認することが大切です。
釣果欄では匹数だけでなく、アジのサイズ、釣れた水深、使用したビシの号数、外道の内容も確認しましょう。
釣り方の基本は共通している

LTアジとビシアジでは道具の重さが異なりますが、釣り方の基本は共通しています。
- ビシを海底まで沈める
- 糸フケを取って底を確認する
- 船長の指示ダナまで仕掛けを上げる
- 竿を振ってコマセを出す
- 仕掛けをコマセの中になじませる
- アタリを待つ
- アジが掛かったら一定速度で巻き上げる
重要なのは、船長が指示したタナを守ることです。
例えば「底から2m」と指示された場合は、底を取ってから正確に2m上げます。適当な位置でコマセを振ると、アジの群れが分散し、船全体の釣果へ影響することもあります。
LTアジでタナ取り、コマセの振り方、巻き上げ方を覚えておけば、ビシアジへ進んだときにも経験を生かせます。
初心者にはLTアジがおすすめ
船釣りが初めてなら、まずはLTアジをおすすめします。
理由は、魚を釣るまでに覚える操作が比較的少なく、道具の扱いに余裕を持ちやすいからです。
初めての船釣りでは、釣り方以外にも次のことを覚える必要があります。
- 乗船までの受付方法
- 船上での安全な移動
- 仕掛けの投入方法
- エサの付け方
- オマツリの対処
- 魚の取り込み方
- 釣った魚の保冷方法
- 船酔いへの対応
重い道具の操作まで加わると、初心者は釣りを楽しむ前に疲れてしまう可能性があります。
LTアジなら、比較的軽い道具で船釣りの基本を一通り経験できます。まずLTアジで数回経験を積み、その後、良型アジを求めて80号や130号のビシアジへ進む流れが自然です。
最初は半日LTアジ船が始めやすい

初心者の最初の一回には、半日LTアジ船が適しています。
午前船または午後船として出船することが多く、乗船時間は船宿によって異なりますが、一般的な一日船より短く設定されています。
半日船には次のメリットがあります。
- 船酔いのリスクを抑えやすい
- 体力的な負担が少ない
- 一日船より料金を抑えやすい
- 家族や友人を誘いやすい
- 午前または午後を別の予定に使える
- 初めてでも集中力を保ちやすい
「船釣りが自分に合うか分からない」という人も、まずは半日船から試してみるとよいでしょう。
ビシアジから始めてもよい人

初心者全員がLTアジから始めなければならないわけではありません。
次のような人なら、最初からビシアジを選んでもよいでしょう。
- 大型アジを釣ることが明確な目的になっている
- 走水など特定の釣り場へ行きたい
- 同行者に経験者がいる
- 船宿のレンタルタックルを利用できる
- 電動リールの操作を教えてもらえる
- ある程度の体力がある
- 深場の船釣りを経験してみたい
経験者と一緒に乗船できる場合は、仕掛けの投入、タナ取り、電動リールの操作、オマツリへの対応をその場で教えてもらえます。
逆に、初心者だけで130号以上のビシを使う釣りへ挑戦する場合は、予約時に初心者であることを船宿へ伝えておくと安心です。
最初からタックルを購入するべき?

初回は、船宿のレンタルタックルを利用するのがおすすめです。
LTアジとビシアジでは必要な竿やリールが異なります。どちらを続けたいか分からない段階で一式を購入すると、後から買い直すことになりかねません。
まずレンタルで一度経験すると、次のような好みが見えてきます。
- 軽い竿がよいか
- 先調子と胴調子のどちらが扱いやすいか
- 手巻きで楽しみたいか
- 電動リールが必要か
- 半日船と一日船のどちらが合うか
- 数釣りと大型狙いのどちらを重視するか
LTアジを継続するなら、LT用ロッドと小型両軸リールから購入します。ビシアジを中心に続けるなら、指定号数に対応したロッドと電動リールを検討しましょう。
ビシ、天秤、仕掛けについても、船宿ごとに仕様が異なります。購入前に、よく利用する予定の船宿の指定を確認することが重要です。
LTアジとビシアジの選び方

どちらにするか迷ったら、次の基準で選ぶと分かりやすくなります。
LTアジが向いている人
- 船釣りが初めて
- まずはアジを釣る経験をしたい
- 道具の軽さを重視したい
- 半日だけ楽しみたい
- 家族や子どもと乗船したい
- 手巻きリールで魚の引きを楽しみたい
- できるだけ費用を抑えたい
- 数釣りを楽しみたい
ビシアジが向いている人
- 良型・大型アジを狙いたい
- 走水などの有名ポイントを攻略したい
- 深場の釣りを経験したい
- 電動リールを使いたい
- 重いビシの操作に抵抗がない
- 一日かけてじっくり釣りたい
- LTアジの次のステップへ進みたい
初心者におすすめのステップアップ

これからアジ釣りを始めるなら、次の順番で経験を積むと無理がありません。
ステップ1:レンタルで半日LTアジに乗る
まずは道具を借りて、船釣りの流れを体験します。受付から魚の持ち帰りまで、一連の動きを覚えることが目標です。
ステップ2:LTアジで基本動作を覚える
底取り、タナ取り、コマセの振り方、アタリの見極め、一定速度での巻き上げを練習します。
ステップ3:必要な道具から購入する
釣りを続けたいと思ったら、竿やリールを購入します。最初から小物を含むすべてをそろえる必要はありません。
ステップ4:80号のビシアジへ挑戦する
LTアジに慣れたら、80号前後のビシを使用するアジ船へ挑戦します。重い仕掛けの扱いと、深場でのタナ取りを経験できます。
ステップ5:走水などの130号ビシへ進む
大型アジを本格的に狙いたくなったら、130号以上のビシを使う釣りへ進みます。電動リールを活用すると、深場でも快適に釣りを続けられます。
よくある質問
LTアジでも大型のアジは釣れますか?
釣れます。LTアジでも30cmを超える良型が交じることがあります。ただし、狙うポイントや時期によってサイズは変わるため、直近の船宿釣果を確認しましょう。
ビシが重いほど大型が釣れるのですか?
ビシの重さがアジの大きさを決めるわけではありません。重いビシは、深場や速い潮へ仕掛けを届け、一定のタナに安定させるために使用します。そのようなポイントに大型アジが多いことから、ビシアジには大型狙いのイメージがあります。
LTアジ用の竿で80号のビシを使えますか?
竿の対応オモリ負荷によりますが、一般的なLTアジ専用竿へ80号のビシを付けるのはおすすめできません。破損の可能性があるため、必ずメーカーが示す対応負荷を確認してください。
ビシアジには電動リールが必要ですか?
必須とは限りません。80号を使用する比較的浅いポイントなら、手巻きでも対応できます。ただし、水深が深い場所や130号以上のビシを使う釣りでは、電動リールがあると回収が大幅に楽になります。
船酔いが心配な場合はどちらがよいですか?
まずは乗船時間の短い半日LTアジ船がおすすめです。ただし、船の揺れは釣り方よりも、当日の風、波、船の大きさ、ポイントまでの移動時間に左右されます。酔い止めは乗船前に正しく服用し、睡眠不足と空腹を避けましょう。
家族で乗るならどちらがおすすめですか?
基本的にはLTアジです。道具が軽く、半日船も選びやすいため、女性や子どもを含む家族釣行に向いています。子どもの年齢制限や救命胴衣の貸し出しについては、予約時に船宿へ確認してください。
まとめ|最初はLTアジ、次の目標としてビシアジ

LTアジとビシアジの最大の違いは、使用するビシの重さと、それに対応するタックルです。
LTアジは30~40号前後の軽いビシを使い、手巻きリールでアジの引きを楽しめます。体への負担が少なく、半日船やレンタルタックルも利用しやすいため、初めての船釣りに適しています。
一方のビシアジは、80~130号以上の重いビシを使い、深場や潮流の速いポイントを攻略する釣りです。道具の扱いには慣れが必要ですが、良型・大型アジを狙える魅力があります。
どちらを選ぶか迷っている初心者には、次の流れがおすすめです。
半日LTアジで船釣りを体験する
→ LTアジで基本動作を身につける
→ 80号のビシアジへ進む
→ 走水などの130号ビシで大型アジを狙う
LTアジとビシアジは、競合する釣り方ではありません。
まずは軽いLTアジで船釣りの楽しさを知り、その先にある大型アジ狙いのビシアジへステップアップすることで、東京湾のアジ釣りを長く楽しめるようになります。